2009年11月7日土曜日

2. メール,そして電話

起きるとすぐにコンピューターでメールのチェック、これが日課である。
早速、彼のメールが入った。夕べの私の言葉に対してのメールで、

ーありがとう。ナイスな言葉だ。

必要ならいつでも連絡ちょうだい。

と返した。

一時間後、

ー2,3日、そこのカウチに寝させてくれないか?
とメール。

うちに来たいなら、メアリと
話しをさせてくれない? あなたたちの関係が私の生活に影響するなら、もう少し状況を理解したいから。
と返した。

 メアリとは彼の彼女で、私達が別れることになった原因の80%。後の20%は酒。
12年前、彼女は某有名雑誌の社長をしていた。2年以上も無職だったうちのダンナはラッキーにも50%でっち上げの履歴書なのに、マネージメント ダイレクターという非常によいポジションでクライスラービルにある広告代理店に就職を決め、そこに1年足らずいた後、NY、東27丁目にある某広告代理店に昇進して勤めることが出来,人並み以上の月給にありついたいた。某有名雑誌の社長、メアリが彼の産まれたスコットランドの隣町出身と分かり、それをきっかけにして手紙を出したのだ。
手紙を出すというところまでは、嬉しそうに私に話していて、この企画を社長に話したら凄い乗り気で、僕は成功するのだなどと言っていた。
メアリは彼の手紙を読み、なんとグラムとランチの約束をした。
そのランチの日, どうだったの?と聞いたら、ブスだったと答えたきり、グラムはメアリのことには触れなかった。
そして、それから彼はまた酒を必要以上に飲みだした。
メアリとの関係は明らかだったが、仕事の付き合いという名目だった。確かに、仕事を絡めていたのは知っている。
メアリは余りにも有名すぎる雑誌社の社長で、本人もそう思っているから、うちに夜の9時頃、
xxxxxxxマガジンの社長の
メアリだがグラムはどこ?
という電話があったことがある。
メアリとの関係が深くなればなるほど、そして、私がグラムを私の家から警察を読んで追い出すまでの半年間、グラムの酒の量は恐ろしく増えていった。
そして、彼の無断外泊、彼の収入は彼だけのもの、暴言,脅しは増えていく。
メアリのアパートの電話番号をグラムのかけた電話の経歴から見つけて知っていた私は、ケントが40度の熱を出して朝の4時まで泣き続けた夜中に彼女のところに電話をしたことがある。
電話に出たメアリにグラムはいるか?と聞くと
イエス
と言って、
グラムに電話を渡した。
この電話のバックグランドサウンドは,2歳児の泣き声。
グラムは夜中に迷惑と私に腹を立てて電話を切った。

それ以来、私はメアリと話しをしたことがない。
グラムの兄のジョージに何度頼んでも、彼女の連絡先は教えてもらえなかった。
かかわらない方がいい。自分の生活を守ることが肝心。触らぬ神に祟りなし。ということだった。

そうだ。イギリスのジョージに電話して、事情を聞いてみよう。
私は飽和状態で、誰か話し相手になってくれる人が必要だった。
勿論、この状態では、私の話し相手はジョージしか居ないのである。

ジョージ、グラムがメアリにイギリスに追い返される、帰りたくないからうちに泊めてくれと言っている.一体どういうことなの?

”おお、そんなことをしたらいけない。君はケントを守る責任がある、何があってもグラムの言うことなど聞いてはならない。グラムは君を利用しているだけだから。僕はメアリから連絡があって、グラムを送り返すから空港に迎えに行って欲しいといわれ、詳しいことの電話を待っているところだ。酒を飲んで、メアリにひどいことをし、メアリも努力したのだから、こうなったのも仕方がない。とにかく、僕に任せてくれ.僕がなんとかする。イギリスに帰してくれ。””

分かった。これからはあなたとパムが大変になるね。


これで、一応、イギリスの状態は理解出来た。

ー迎えに来てくれ。
とグラムからまたメールが入った。11時。

電話して。
と返した。

電話がかかる。

”迎えに来てくれるか?”

メールと同じことを言った。

メアリ
と話しをさせてくれる?

そうすれば、うちに来れると土壇場のグラムは単純にそう思ったに違いない。
メアリにフーディと言って電話を渡した。

メアリは“イエス”と言った。

電話に出てくれてありがとう。あなたも知っているように、私達は彼なしで長いこと暮らして来て、はい、どうぞと受け入れれる生活を私達はしていないの。私も母が死んでから、仕事先を辞めたりして、いろいろ大変で、まだ普通の生活にはもどっていないし。ケントも居るし、学校もあるし。グラムはフーディが迎え来てくれると言っているかもしれないけれど、グラムがあなたに言っていることは本当ではないから、そのまま受けとらないで欲しいのよ。

”あなたの言うことはよく分かるわ。心配しなくていいわ。車を呼んで空港までいかせるから。そう、グラムに言ったの?


グラムが横に居るので、彼女は話し辛い感じだった。

まだ。言った方がいいわね。


”そうね。

と言って、さっさと電話を変わってしまった。

グラム,私、ジョージとも話したの。ジョージが待っているって言ってたわ。
だから、イギリスに戻った方がいいのかも。それから、また、みんなでどうすればいいか相談しょう?

と私の話しも終わらないうちに、グラムは

”それじゃ”

と電話を切ってしまった。

メアリの電話番号を聞くのを忘れたとまた後悔。
もう2度と話せないのか?

この12年間の鍵を握っているのはメアリなのに、話しも聞けない。
そして、私はこんな電話をいつも一方的に受けとるだけで、何も本当のことは分からないのだ。馬鹿げた話しだと思った。

マンチェスター行きのフライトを調べた。グラムに会おうと思えば5時に空港に行けばよかった。
その時間まで考えた。ケントにも聞いてみた。
勿論、彼は行きたくないと言った。

私は虫が騒ぐのである。これが最後だという気がしてならない。
何度も言うが、どうういう意味での最後か分からないのだが最後なのだ。

グラムの酒のこと。鬱病のこと。この原因は彼の幼年から始まる。母は彼が3歳のときに、病気で亡くなり、父は母の後追い自殺で7歳のときに亡くなっている。父もアル中で彼とそっくりなのである。酒を飲むと自分も自殺すると思っている。それなのに飲む。飲み続ける。
5,6歳上のメアリを失うということは彼の母を亡くすことに近い。
今回ばかりは、グラムのことをどうしてもふーんと聞き流せないのであった。

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